去る三月二十五日（日）東京銀座山葉ホールに於いて、京都より御上京中の雷蔵さんをお迎えして「第一回春季会員の集い」を華々しく開催致しました。当日は今にも泣き出しそうな空模様でしたが、此の日を一日千秋の思いで待ちわびておられた会員さん方の熱心さが天の神（？）に通じたのか、最後まで持ち続けました。期待に胸躍らせつつ十一時頃より続々と参集された会員さんに加えて、谷村錦一、藤間勘十郎、市川新之助、清元梅吉、勝新太郎、林成年、若尾文子、南田洋子、市川和子、清水谷薫、大浜千鶴子、苅田とよみさん等の有名人が御来賓下さいまして、盛大な会になり多大の成功を収めました。

　第一部は和田てる子さんの司会に依り、梅原相談役、谷村錦一氏、各スターの方々、雷蔵さんと、挨拶（ユーモアを交えた）があった後、各雑誌社、新聞社、後援会、その他よりの花籠、花束に囲まれ雷蔵さんは始終楽しそうな笑顔に包まれていらっしゃいました。

　第二部は、ラジオ東京の芥川隆行アナウンサーの司会で、「私と貴女の三つの歌」に移り、先ず、勝新太郎さんが新曲“静かなる夢のロマンス”を、市川和子、雷蔵、清水谷薫の皆さんが、童謡、歌謡曲（雷蔵さんの出演作品大映々画主題歌より）をそれぞれ会員さんと共に唄いまくり、雷蔵さんのお唄いになった曲は「證誠寺、次男坊鴉」でめったに出来ない美声（？）を披露してやんやの喝采を浴びました。次に雷蔵さんを中心に「声のスターコンテスト」。雷蔵さん主演作品集の名場面シナリオより、会員さんを相手役に、颯爽とした美剣士又四郎、名奉行遠山金四郎を演じ、司会者のユーモラスな名司会も面白く、続々くりひろげられるステージの数々に、会員の皆様は驚嘆の声！拍手の嵐に集い気分も最高潮に達し、雷蔵さんの投げる紅白のラッキーボールを我こそ拾わんものと場内は割れんばかり。

　第三部映画、雷蔵さんのデビュー作『花の白虎隊』を上映。追憶も新に、過ぎし日の感動を呼びさまし、新たなる涙に会員皆様は滴っておりました。いよいよ皆さん待望の「保名狂乱」の開幕、舞台を離れて二年、この日の為に忙しいスケジュールをさき、お稽古して下さった雷蔵さんの舞踊は素晴しく、恋に狂った「保名」を踊り抜く雷蔵さんに、会員の皆様はただうっとりと見惚れるばかり、「升田屋」の掛声もただ夢の中に聞き、万来の拍手に我にかえった面持でした。時間のたつのも忘れて過した春の集いも、名残を惜しみながら午後五時頃、大盛況裡に閉会いたしました。

　東京の会員に加えて、遠く北海道、宮城県、新潟県、名古屋市を始め、各地より熱心な会員さんが遠路御出席下さいまして、六百名に及び、かくも多数の会員さんの御出席を得て盛大に開催出来ました事を大変嬉しく思います。

　始終笑顔を以って皆様に接して下さった上に、素晴しい舞踊を披露して下さいました雷蔵さんに感謝の気持で一杯です。

　今日の印象を永久に忘れまじと感激に満ちた会員さんのお顔！御出席下さいました会員さんには、御満足願えた事と思います。

　秋頃には雷蔵さんと共に、発足一周年記念祝賀会を催したいと存じますので、皆様の御協力をお願い致します。なお、清元連中は、唄清元登志寿太夫、清元梅栄太夫、三味線清元梅吉、上調子清元梅園　鼓の皆さんです。

(可美奈り会誌第7月号)